安価なイーゼルを活用しますよ

プリントの道具の中でもイーゼルの使い勝手ってとても大切。
ブレードのセッティングとかも直交の精度とか重要だから、2枚羽根の安いイーゼルよりも、4枚羽根の方がずっといいよね。

しかしながら、たとえ4枚羽根のイーゼルであっても、メモリに合わせてブレードをセットしただけじゃちゃんと直交なんかしないよね。
かなりメジャーで使ってる人も多いLPLの1417DXっていうやつはもちろん、サンダースの高級なやつとかボクも持ってるけど、まぁ、ダメだね。
そこで、新島さんが寄稿してくれているように、4枚羽根イーゼルでも毎回ちゃんとセッティングしないとならない。
こちらの記事「イーゼルのセットアップ」のようにね。

さて、それはともかくとして、いっつも同じサイズでプリントしてるなら、1度セッティングしてしまえばそのままでいいのだけれど、2:3だ、スクエアだ、パノラマだと、印画のサイズやフォーマットをあれこれ変えるには、そのたびにセットアップをし直さなくちゃならなくて面倒くさい。
そこで、よくプリントするサイズ分だけイーゼルを買っちゃおうか!と思ったのだけれど、4枚羽根のイーゼルは小さいサイズ(先述のLPLの1417DXとか)でも結構高価。ネットオークションで中古を見ても1万円以上してる(2013年現在)。

いっぽう、2枚羽根の安いイーゼルは、ネットオークションなんかで11x14インチ用が千円くらいから手に入ってしまうし、新品も数千円で買える。
しかしながら2枚羽根だと使い勝手が・・・と、よく考えたら、よくプリントするサイズにセットアップして複数枚のイーゼルを使い分けちゃおうというのがそもそもの発想なのだから、工夫すればいいわけなのだ。
ブレードには頼らず、そのプリントサイズ専用の、マスクを作っちゃう。

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まず、しっかりした厚紙かなんかを用意して、プリントサイズの窓を開けます。
厚紙(かなにか)は使う印画紙のサイズかちょっと大きいくらいでOK。ボクはマットボードを使ってますよ。
窓は、なにも額装時のオーバーマットのように斜めカットする必要はないので、カッターで直角に切り出します。出来るだけ綺麗にね。
使う印画紙と同じサイズの厚紙を使うなら、窓の位置はずばり、画像が来る位置でOKです。
右の画像では、定規で下書きしてから、同じくマットボードの切れ端を使ってカッターを当ててます。プラスチックの定規と違って滑ってズレたりしないから、ボードを切るときにはいつもこうしてますよ。

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窓が開いたら、切り口と縁の部分を黒く塗りつぶします。イーゼルのブレードは普通はつや消し黒に塗られているけど、この辺は投影光が直接当たる部分で、その反射が印画紙を被らせてしまうからですね。
切り口は綺麗に塗って、縁の部分は5ミリくらいの幅で塗っておきます。

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縁の部分を幅広く塗ってもいいんだけど、けっこう大変なんですよね。マジックで塗るとインクがガンガン吸い込まれて行っちゃうし。
そこでボクは、黒のテープを貼ってしまいます。シュアテープ(パーマセルテープ)がいいですね。

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さて、2枚羽根のイーゼルにはたいてい、ヒンジ側の枠の下に紙押さえの爪がついてますね。
この部分を避けられるように、マスクに切り欠きを作ります。
マスクを印画紙と同じようにセットして、ブレードを下ろすと爪がマスクの上に乗っかりますから、そこに罫書きして、カッターで切り取ります。

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それが出来たら、マスクの上にブレードをすっかり下ろして、右上、左上をテープで軽くとめます。
とめるのは軽くでいいよ。というのは、このマスクを交換式にしちゃうと利便性がさらに上がるから。

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ここがちょっとトリッキーなんだけど、上端はそのままとめちゃえばいいんですけど、手前側はブレードとマスクの間にスペーサーをかまさないとならない。
というのは、マスクの厚み分、ブレードが台板まで降りないからなんだね。
要するに、マスクは平らに降りるのだけれど、もともとのブレードの手前側はちょっと浮いちゃうんだな。
スペーサーをかまして、それを含めてテープでとめます。

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はい、出来ました。超カンタン。
ちなみに、台板には黒の画用紙を載せて、端を軽くテープでとめてあります。
安いイーゼルは白いのがほとんどだと思うし、LPLの4枚羽根やサンダースなんかは黄色ですよね。
明るい色にしているのは、投影像を見やすくするためだと思うけれど、これは宜しくない。
まず、位置を決めたりピントを合わせたりするときには、使う印画紙と同じ厚さの紙(普通は犠牲にした印画紙を裏返し)を置いて作業します。紙の厚さのぶんだけ、ピントの位置も変わるからですよ。
それよりなにより、プリントを明かりに透かしてみればわかるように、印画紙というのは意外なくらい光を透過してしまいます。
プリントの露光時、印画紙表面に当たった光の幾ばくかは拡散しながら印画紙を通り抜けて、イーゼルの表面で反射して背面からまた印画紙を透過して乳剤面に戻ってきます。それがシャープネスを低下させるんです。
たとえそれがわずかでも、理論的にはそうなります。この話は時々議論されるみたいで、「そんなの影響ない」っていう人も少なくないみたいなんだけど、さっき述べたみたいな理屈でも十分影響があることは想像できるでしょ?
しかも実際、ボクの経験でも、イーゼルの台板表面からの反射ってプリント上で確認できるんですよ。
4枚羽根のイーゼルって、LPLのもそうですけど、印画紙の位置決めのための溝がいくつかありますよね。あの溝のカタチがそのままプリントに出てきたりするんです。最初なんだかわからなくて、ネガにムラもないしなんだろなぁと思っちゃいましたよ。
それ以来、ボクはイーゼルには必ず黒い画用紙を置くようにしてます。もちろん、つや消し黒に塗っても構わないですよ。そうやってる人は結構いるみたいですね。

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さて、マスクはテープで軽くとめているだけなので、交換が簡単です。
そこで、右の画像じゃないですけど、ボクはあれこれフォーマットやサイズで作ってあります。
4枚羽根のイーゼルでブレードをセッティングするより遥かに簡単で正確です。
しかも、2枚羽根のイーゼルは先にも書いたように中古でめちゃめちゃ安く買えちゃいますからね。よく使う定番サイズ・フォーマットのやつはそのままで、たまにプリントするサイズ・フォーマット用とかは交換式とか。
4枚羽根のイーゼルを1台買うのと同じ予算で、4枚も5枚も(それ以上?)のイーゼルを用意できてしまいますね。

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さて、ブレードの使い勝手はマスクで解決どころか向上してしまいましたが、安い2枚羽根のイーゼルが4枚羽根のものに劣る部分には他に、軽いのでズレてしまう、というのがあります。
うっかり押しちゃったとかはもちろん、ブレードの開け閉めだけでズレてしまうほど、14x17インチサイズのものでも軽量です。
もっとも、4枚羽根のイーゼルだって、さすがに全紙用の20x24インチとかだと十分に重いですけど、小さいものだと十分に重いというわけでもありませんけどね。
そこでボクは、位置決めをしたらイーゼルを引伸し機の台板にテープでとめてしまいます。右の画像みたいな感じで、4隅くらいとめておけば十分です。
これもシュアテープ(パーマセルテープ)が便利ですね。何回か使い回し出来ますからね。

いかがでしたでしょうか。
高価なイーゼルにはなかなか手がでないなぁという方は是非、試してみてね。