和田尚樹さんから寄稿頂いた、「ロールフィルム用の現像タンクで4x5インチのシートフィルムを現像する方法」です。シートフィルムの現像には昔から言われるトランプ現像やハンガー&専用タンク、BTZSチューブ現像、JOBOなどのロータリー現像など、いろいろありますが、いわゆる普通のロールフィルム用タンクで手軽に簡単に現像することが出来るのです。
もっと気軽に大判カメラを使ってみよう
大判カメラでの撮影は面白いものです。
またプリントクオリティを求めるならば非常に有利な道具になると思います。
大判での撮影の利点としては、
- 画質の滑らかさ、
アオリ撮影ができる、
シーンごとのフィルムの選択&カットごとの現像法を変えやすい、
レンズのラインナップが豊富、
中古品の値段が安い、
など。
まぁ色々挙げてみましたが、中古が安い、以外の利点は使ってみないとホントに実感できないと思います(笑)
そこで是非使ってみましょう、ということになるのですが、ロールフィルムユーザーがシートフィルムへの参入の障壁になってることに、「シートフィルムの現像」「引き伸ばし機の値段・大きさ」があるかと思っています。
ここでは、僕のいつも行ってる、4×5”シートフィルムをロールフィルム用のタンクを使って現像する方法を紹介したいと思います。
引き伸ばし機もフィールドタイプのカメラを買えば簡単に自作できるので、その方法も別の記事で紹介します(簡単★自作4x5引伸し機)。
下準備
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用意するもの
現像タンク(パターソンタイプまたはブローニー2本以上現像できるステンレスタイプ)
輪ゴム
ダークバッグ
現像用のバット(六つ切りくらいのものが入る大きさ)
クリップ、洗濯バサミなど(乾燥用)
タンクにフィルムを入れる
以下の操作はもちろん完全暗室、またはダークバッグの中で行います。
撮影が済んだ人ならばご存知かとは思いますが、念のために書いておくと、シートフィルムにはノッチコードというものがついています。
この写真の右上の切れ込みがそうです。
フィルムの種類によって、ノッチコードの形状は異なるのですが、どのフィルムでも、このノッチコードを右上に持ってきたときに乳剤面が手前を向くようになっています。
したがって、下の写真に写ってるのは乳剤面です。
この乳剤面を内側にして輪ゴムをかけます。
あまりゆるすぎるとダメですし、きつすぎてもダメですが、日本で一番普及してる大きさのものならば問題ないです。
フィルムが巻けたらタンクにつめます。
つめ方の形は次のようなカンジがいいかと思います。
僕はパターソンは4枚、ステンレスは3枚以下、で現像しています。
ステンレスの場合、一枚だけなら輪ゴムなしでいけます。
ちなみに僕は、パターソンの場合には900ml、ステンレスの場合には700mlの現像液を使っています。
つめすぎると、現像中に浮き上がって他のフィルムの圧力で下に戻れずに、現像液に入ってなかったとか、形がひしゃげてフィルムが自己接触(下の写真)みたいなことがあるので、僕は上の枚数で落ち着いています。
もちろん、ダークバッグから取り出す前に蓋をしてください。
現像・停止・定着・水洗
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現像、停止はタンクの中で行いますが、定着と水洗はタンクから取り出してバットで行います。
事故を防ぐために、現像時の攪拌にもコツがいります。
経験上、パターソンタイプの方がタンクの高さがちょうど良いために、蓋がフィルムを抑えてくれて輪ゴムが外れにくいと思います。
僕は倒立攪拌は行っていません、また現像液からフィルムが出てしまうような攪拌は避けています。
経験から、現像液中での圧力のかかり方が一定でないと、輪ゴムが脱げてしまうことが多いからです。
逆に、それさえ守れば事故は防げると思っています。
現像が済んだら、停止と定着です。
停止は普通に行ってください。
その後、フィルムをタンクから取り出してバットで定着させます。輪ゴムの場所だけ定着がうまくいかないからです。
停止が済んだ後フィルムを取り出すと輪ゴムの場所にムラがついていることがありますが、画像には関係ありません。定着で消えます。
もちろん、完全に停止させていれば定着は明るい場所でできます。
現像液と定着液の順番を間違えると画像は何も出てきませんよね。露光しても現像しなければ画像にはなりません。
ちなみに、僕の停止は水道水を2回ほど入れかえるだけです。
乾燥
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好きなように乾燥させください。
僕はこんな風にクリップ使ったり、ノッチコードによっては針金を通したりしてます。
アクロスなんかはノッチコードに穴があるタイプなのでそこに針金を通して引っ掛けます。

ネガは僕の三脚とビューカメラです。かわいくて仕方ありません。
ちょっと線が傾いてますが。。。
輪ゴムでとめてタンクに入れるってのは、いい加減な方法ですが、僕は今のところこれで納得のいくものができています。
もちろん、はじめたてのころは色々工夫しながら、時々事故を起こしましたが、行き着いたのがこの形で、今は問題ありません。
すこしは慣れは必要ですが、それはロールフィルムをリールに巻くときも同じですよね。