誰でも簡単ドライマウント

ご家庭のアイロンで出来ちゃう簡単ドライマウント
ドライマウント、というと、なんだかプレス機とか大げさな装置が必要なんじゃないかと尻込みしている方もいらっしゃるようなのですが、実はご家庭の普通のアイロンで、簡単に出来ちゃいます。
ま、もちろん、ドライマウントプレス機を使う訳ではないので、<ドライマントプレス>ではないんですよ。
あくまでも、<ドライマウント>、です。

でもそれで十分です。
というより、実をいうとボクは、ビシッとプレスがかかったプリントって、表面の質感が味気なくてあまり好きじゃないんですよね。
圧を掛けずにマウントした方が、紙の表面の細かい凹凸が自然な感じで、ボクには好ましいのです。

ま、あなたが、ビシッとプレスのかかったプリントが好きなら、どうぞドライマウントプレス機を使ってくださいませ。
ボクと同じように感じられる方だけ、先へ進みましょう。
念のため言っておきますけど、巨大な圧を掛けなくたって、ドライマウントすれば奇麗にフラットニングされた状態にはなりますよ。強い圧を掛けてしまうと、表面の印画紙の表情が消えてしまうのが、ボクは好きじゃないのです。

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さて、額装というと、ついついミュージアム規格のものだとか、アーカイバルがどうこうとか、そういう話になってしまうようなのですが、ボクはどうも馴染めませんのです。

そもそも、プロ用機材のお店で売っているシンプルモダンなフレームって、それが似合う部屋にみんな住んでるのかなぁ、と思ったり。
写真展やるなら縛りとかもあるんでしょうけど・・・。

上の写真のフレームは、最近のボクのお気に入り。
写真用品店ではなく、生活雑貨のお店で売っているような、ナチュラルというかカントリーというか、最近流行のホワイトウォッシュ仕上げリサイクルウッドのフレームです。
オシャレでしょ? 女の子ウケしそうじゃな〜い(笑)
全体のサイズは約35センチ角(14インチ弱)で、窓のサイズは24.5センチ。
8×10インチの印画紙(六つ切)でスクエアフォーマットのプリントには丁度良いサイズです。

手順

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    まずは、フレームにぴったり収まるサイズに、マットボードを2枚、用意します。
    カッターで簡単に切れますね。
    フレームはたいてい、裏側に板をあてて作品をガラスと挟むような構造ですから、そのガラス/裏板と同じサイズ、という事ですね。
    今回のフレームの場合、10インチよりちょっとだけ大きい255ミリがぴったりのサイズでした。フレームの窓枠が245ミリでしたから、上下左右とも5ミリずつ、外枠が被るという構造ですね。

マットボードは、写真用に売られている、アシッドフリー(無酸)のものを使用します。ボクは100%コットンのLight Impressions社のものを買っています。メキシコ製。
今回使用のマットの厚みは4プライです。255ミリ四方に切り出しますので、11×14インチのものを使用。色はブライトホワイト。
2枚のうち1枚は、プリントを貼付けるもの。もう1枚は窓を開けて、オーバーマットとして使います。
プリントを貼付けるボードは2プライが良い、という風に言われてますが、ボクは4プライです。好きにしてください。

切り出すと、余りの切れ端が出来ますが、これはあとで使います。

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    今回額装するプリントは、8x10インチの印画紙に、6x6インチの画像サイズでプリントしたものです。
    これはボクが普段作っている標準サイズ。
    10インチ角の窓枠に6インチ角の画像ですので、窓枠内で余白は上下左右とも(平均で)2インチずつ。

    フレームも枠の幅があるデザインですので、まずまずバランスの良い額装になりますよ。

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    さて、左の画像に登場したのが、「ドライマウントティシュー」です。
    薄い紙状のノリでして、熱を加えると接着するようになっています。
    プロ用写真用品のお店などで購入出来ますが、一般的な量販店では取り扱いがないかもしれません。
    ボクはFreestyleのオリジナルブランドのものを使ってます。日本の専門店で売ってるのより何倍も安いので(笑)。
    ドライマントティシューには高温用と低温用があるみたいですが、低温用でよいかと思います。RC印画紙にも使用可能です。
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    まず、このドライマウントティシューを、プリントした印画紙の裏側に重ねます。
    そして、中央部分にアイロンの角を軽く撫でるようにあて、加熱します。アイロンの設定はドライの中温って感じ。

    これがいわゆるタッキングという作業で、専用のタッキングアイロンというのも存在するのですが、普通のアイロンの角を使えば十分です。

やるべきことは、印画紙の裏面の中央あたりで、ドライマウントティシューを仮留めするだけの事です。
この後、プリントの画像サイズに合わせて印画紙とドライマウントティシューを一緒に切ってしまいますが、仮留めしておけばズレる事なく作業が進められる、という訳です。

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    定規をあて、画像の部分だけ、きれいにカッターで切り出します。
    印画紙と、仮留めしてあるドライマウントティシューを一緒に切るんですよ。

    今回の例ですと、切り出した画像部分は152ミリ角になりました。
    プリント作業時にイーゼルのブレードが直交しておらず、正確な四角形になっていなかった場合でも、このときに切り落としてしまえばいいのです。
    あてる定規ですが、汚れてるようなのはダメですよ、プリントの上にあてますからね。
    ボクは、先に切り出したマットボードの余りの直線部分を定規代わりにしてカッターをあてています。
    マットボードは滑りにくいので、作業もしやすいのです。

さて、部品が揃ってきました。
次は、(今回の例では)255ミリ角に切ったマットボードに、152ミリ角に切り出した画像部分を貼付ける番です。
ベースになるマットボード上で、画像の位置決めをします。

左右は、対象にします。
255ミリ – 152ミリ = 103ミリ、ですから、左右の余白は51.5ミリずつです。
マットボードの端の方で、左右とも角から51.5ミリのところへ鉛筆で印を付けます。必ず、普通の鉛筆を使いますよ。
このときは端に印を付けるだけで、線を引いたりはしません。線を引いても後で消しゴムで消せはしますが、筆圧でマットボードに痕が残ってしまいますからね。
念のため、いま作業している面は、額装したプリントの表側です。マットボードの端っこに印を付けてもフレームの外枠に隠れてしまいますが、内側はダメです。汚したり作業の痕が残ったりしないように気をつけましょう。

次に上下ですが、画像はど真ん中よりも、ちょっとだけ上にズラしておいた方がバランスよく見えます。人間の脳の働きなんでしょう。

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    さらに、画像の下側にはタイトルを書いたりサインをしたりしますので、その分も考慮して、中央よりやや上に画像を位置づけします。

    どれくらいズラすか、というのは人によって違うと思いますが、今回のようにスクエアの画像をスクエアのフレームに納める場合は、上45%に対して下55%という人もいるでしょうし、もう少し差を少なく、47%と53%とする人もいるでしょう。

今回ボクは、差を少し少なめにして、左右が51.5ミリずつだったのに対して、上を48.5ミリ、下を54.5ミリとしました。

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    次に、印を付けたマットボードの上に切り出した画像部分を載せます。
    マットボードには位置を示す印を付けてありますので、定規と三角定規を駆使して、水平/垂直を正確に。

    まず左右の印を基準に横に定規を渡して、その定規に合わせて三角定規で上下の印に合わせ、印画紙を角に合わせる、という感じでしょうか。

理屈から言うと、下と右、あるいは上と左など、2点を合わせれば済むのですが、念のため上下左右とも確認したいところです(ボクはあんまりしてないけど)。

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    しっかり位置決め出来たら、ズレないように上から押さえます。
    直接印画紙を触っては汚れてしまいますから、画像のように、最初にマットボードを切ったときの残りを使って押さえます。

    マットボードはそもそも画像を痛めない素材で出来ていますし、表面がざらざらでちょっと粘っこい(?)ので、滑らないんですよね、こういうときに。

    なにかと重宝するので切れ端コレクションは大事です(笑)。

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    次に、ズレないように片手で押さえたまま、再びアイロンを用意して、この状態で押さえに使っているマットボードの上からタッキングします。
    左の画像のように、アイロンの角を使って、中央付近だけを軽く加熱して留めればオッケーです。

(写真を撮るために左手でデジカメ持ってますが、本来は左手でズレないように押さえながらやるんですよ。アイロンで火傷しないように気をつけてね)

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    ほら、逆さまにしても落ちない。

    ここまでくれば、あとは全体を加熱して接着するだけです。

    言うまでもなく、直接アイロンをあててはダメですよ。
    大きめのマットボードを載せて、全体を丁寧にアイロンがけします。
    ときどき覗いてみながらね。

    四隅も含め、全体が奇麗に平らに接着されればオッケーです。

すると・・・

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    ほらできた!

    ぴっとしていて気持ちがいい。
    斜めからよく観て、奇麗にのり付けされているかどうか、確認してくださいね。

    実は念のため、アイロンがけでマウントした後にボクは、2枚のマットボードに挟んで、ズボンプレッサーに入れて加熱してます。
    ズボンプレッサーを持っている方は、どうぞ。

    (恥ずかしながらボクは、ズボンプレッサーでズボンを奇麗にプレス出来た事がないんだけど、写真用には活躍してますな)

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    さて、続いては、オーバーマットを作ります。
    さっきボードに固定した画像の、上から被せるマットですね。

    土台のボードと同じサイズ(今回は255ミリ)に切り出したマットボードに、窓を開けます。
    窓のサイズは、画像より少し大きくするのですが、どれくらい大きくするかもまた、人により違うでしょう。

今回はプリントも小さいので、5ミリを基準にしようと思います。

画像サイズが152ミリx152ミリでしたから、上と左右は157ミリにして、下だけさらに5ミリ余計に広くしておきます。そこにサインするつもりだからです。
フレームがもう少し大きいとかでしたら、上と左右を10ミリ、下を15ミリなどにした方がすっきりするかもしれませんね。

マットボードに、鉛筆でケガキ線を引いてしまいます。
この面は裏側なので、鉛筆で線を引いても大丈夫です。

線に合わせて、マットカッターで窓を開けます。
ボクが使っているのはオルファのもの(マウントカッター)で、普通にホームセンターとかで売ってます。刃が斜め45度に立っているものですね。

この窓あけがちょっと難しいというか、慣れがいるんですが、一番大事なポイントは、もしかすると、カッターの刃はケチらずにマメに交換する、ではないかと思ったり。

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    定規をあてて、マットカッターの指示線とマットボードに書いたケガキ線を合わせて切るのですが、マットカッターを真っすぐに引くには、定規側に押し当てるような力をかけながらでないとすぐに逸れてしまいます。

    そのため、定規もまた、しっかりと押し付けておかないとズレてしまうのですが、プラスチックの定規は滑りやすくて難儀します。

そこで、またまたマットボードの切れ端コレクションが活躍します。
マットボード同士を重ねると、張り付いたように滑らないので、安心してカッターを引く事が出来ます。
(これに気づくまでに、ボクはだいぶ失敗を重ねましたよ、ほんと/汗)

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    はい、出来ました。

    切るときは、マットボードの裏側から、内側にカッターをおいて、つまり刃が外側を向くように切るんですよ。
    すると、表側からみて、外から内に向かって斜めの切断面になる訳です。間違えないようにね。
    それと、角の部分を切り足りない事がないように、切りすぎないように、注意。
    切りすぎると表側にも行き過ぎた切れ目が出てしまいますし、切り足りないと奇麗な角になりません。

いずれにしても、やっぱり窓あけは練習が必要ですね。いくらかの失敗を経て上手になるもんだと思います。

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窓をあけたオーバーマットを、画像を固定したボードに重ねて観ると、ご覧のようになります。
うまく行きました。
窓は、下側だけ広めに、今回は10ミリ画像より大きくなるように開けてあります。
ですので、画像の下、10ミリを超えないように、鉛筆で、タイトルやサイン、贈り物ならメッセージなど、好きなように書き込みます。
プリントのバージョンとか、作成した数量とシリアルナンバーとかね。
このときも、マットボードのの切れ端に右手を置いて書いてますね。どこまでも使います、切れ端コレクション。

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あとは、ガラス、オーバーマット、プリントを固定したマットボード、裏板の順でフレームに(裏から)入れれば額装完成。

額装については、ミュージアム用とかアーカイバル基準とか、専門的にはいろいろあるでしょうし、マットボードについてや、余白のサイズ、フレームの中のプリントの位置、マットの切り方などなど、それぞれ専用のページをさいて説明すべき項目なのですが、今回は「簡単なドライマウント」というのが主眼の記事でしたので、ボクが普段、人にプリントを贈るときにやっている作業を例にとって、ざっと流れを書いてみました。

ですので、まぁ、好きなようにやっていただければいいと思うので、参考になるところだけ参考にしてくださいませ。
アーカイバルマニアのツッコミは固くお断りします(笑)