やっぱりGはいいね、Gは

暗室を作って銀塩プリントを再開するわけだけれど、さかのぼって10ヶ月くらい前かな、もうちょっとか、ヨドバシカメラに立ち寄った。
目的はたしか、出かけている時にスマホにつけるSDカードリーダーが急遽欲しくなって、乗り換え駅だった秋葉原で一回降りて、っていう感じで、まぁ、写真用品とかぜんぜん興味なくなってたのですっごい久しぶり。
その前にヨドバシカメラに寄ったのもプラモデルを見に行っただけだったし。そもそも、ほとんどの買い物はネット通販になっちゃってる田舎暮らしだけどな。出不精だし。コロナもあったし。

さておき、たまたま立ち寄ったのだけれどふと思いついて、暗室用品売り場をチラ見したら、まぁ、スッカスカ。大したものは置いてない。なるほど、これが現実か。あまり驚きはしなかったけど。
あまりは驚かなかったけど、ちょっと驚いたのは、印画紙の価格かなぁ。そもそも棚に在庫置いてないしね。見本箱があって値段がついてるけど、二度見したよね。
さ、さんまんえん??ってなった。

3万円っていうのは、イルフォードのMultigrade FB Warmtone の8×10インチの100枚入りの価格だったんだけど、自分がいちばん書いそうな商品がそれなので、目についたまでで。
もうちっと安いのもあるし、まぁ、10年前よりだいぶ高くはなってるけど、まだ売ってることだけでも素晴らしいと思えるわけで、1枚300円か、やむなし。
と、あとになって考えてはいる。そもそも、20年前だったとしても、高級な印画紙は8×10で1枚300円してたよな。

やむなし、とはいえ、さすがに昔のようにバンバン使うってのも難しいかな。貧乏だしな。できるなら、テストやワークプリントを極力減らして、高価な印画紙を無駄なく使いたいよね、ということは頭の片隅に入れておくにしてもよな。

実際のところ、う〜ん、これから始めようとか、そういう方には、8×10インチが1枚300円となると、高めのハードルにはなっちゃうよね。

ボクはというと、じゃぁプリント再開しよっかな、とりあえず10万円分の印画紙を買おうか、ってことにはならない。貧乏だから。
そもそも、印画紙をどーんと買わなきゃならない状態だったら、銀塩プリント再開しようと思ってなかった、うん。これはホント。

さいわいにして、印画紙は、買い置きがあったのよね。

あと、いつでも買える、少なくなったら買えば良い。そう思ってたものは買い置きはしてないよね。イルフォードの製品とかがそうだね。
ボクがよく使ってた印画紙のメーカーの筆頭がイルフォードなんだけど、なぜボクがイルフォード製品が好きだったかと言えば、いつでも買えるから、というのが大きかったんだよな。

実際そうじゃない?
国内メーカーにしてもコダックにしても・・・。いまになってみれば、イルフォードはしぶとかったねって思うよね。
だいぶ昔の話だけれどもイルフォードも危なかったよね。でも、その最大の危機を乗り越えてから、あぁこりゃ大丈夫なんだなって思って、印画紙もフィルムもイルフォードを主に使ってた。

逆にそれが裏目に出て、買い置きはあまりしてなかったので、いずれは、1箱3万円のやつを買うことになりそうだけれども。

いっぽう、いつでも買えるわけじゃないものは、まとめて買ったりするじゃない?

むかし、オリエンタルがNew Seagull Gを廃番にして、GFという新製品に切り替わったとき、何万円か分のNew Seagull Gを買ったんだけど、あとになって、もっとムキになって買い漁るべきだったって後悔したり。
ハンガリーのForteが廃業になった時には、Fortezo っていうお気に入りの印画紙を買い集めたり。

そのどちらの印画紙も、他に換えが効かないんだよね。普通に黒白のプリントを作るなら、大抵の印画紙でそれなりに出来ますけど、リスプリントの場合は印画紙の個性に依存してしまうので、気に入った印画紙がなくなるっていうのはかなりイタい。

それに、オリエンタルのGFみたいに、後継製品がクッソみたいな印画紙ってこともありえるし、そうでなくても、リスプリントが可能な印画紙は新製品としてはまったく期待できないからなぁ。

手持ちのオリエンタル New Seagull G が底をついた時には、Fortezo に出会っていたけど、買い集めた Fortezo が残り少なくなった時は、あぁ、もう終わりだ・・・オレは終わりだ、ってマジで思った。
やる気が一気になくなって、長いブランクに入ったのも、お気に入りの印画紙がなくなったからというもあるんだよなぁ。
それくらい、印画紙の特性・個性が大事なのです、リスプリントでは。

ハナシが外れたけど、そんなわけで、クロアチアの FOTOKEMIKA が廃業というニュースを聞いた時に、EMAKS と VARYCON をまとめて買っておいた。
だいぶ使ってしまってはいたけど、そのあたりや、FOMA やそのOEM であることがのちにわかった Argentone も、リスプリントに好適な印画紙なのでまとめ買いしてあったり、けっこう遊べるくらいの印画紙は手元に残ってたわけ。

そんな何年も経ってる印画紙が使えるの?って思うかもしれないけど、印画紙はフィルムよりもずっと感度が低いので、案外平気なものなのよ。
なんならしばらく寝かせておいた方がいいってことすら言う人もいる。


もちろん、厳密に言えば平気じゃないよ。いわゆる普通のモノクロプリントを安定した結果で作りたいと思うのなら、そりゃそれなりにフレッシュな印画紙を使った方が良いです。でも、ボクがやるのは、いわゆる普通のモノクロプリントじゃないからね。

FOMAも乳剤変わったっていう噂もあるので、いずれも今後はもう手に入らないかもしれない印画紙たちだし、大事に使ってもしょうがないとはいえ、さぁ、今日はどれにしようかなって、考えちゃうよな。

文字通りの、そのままの意味の、「とっておきの印画紙」、だものね。

なんなら、この オリエンタル New Seagull G2 なんて、あらかた20年「とっておいた」秘蔵の印画紙。
ほとんど使っちゃったけど、全部は使い切らずにとっておいた、かつての超お気に入りの印画紙だけど、死ぬまでには使わなきゃもったいないからね。

そしてプリントして改めて思う。やっぱりGはいい。
オリエンタル New Seagull G はいい印画紙だったよ。

手持ちの残り、20数枚。