汎用的な道具

その他の道具
引き伸ばしプリントやフィルム現像の道具は別のページにまとめ、ここでは汎用的に使う道具類を紹介します。

暗室時計・タイマー
専用の暗室時計でもいいけど、これは不当に高価だと思います。 ボクも最初買いましたが壊れてしまい、それからは買い直そうと思ったことがありません。
現像中は腕時計のストップウォッチ、あるいは台所用品のキッチンタイマーで充分です。 かえって暗室時計より使いやすいと思いますよ。

温度計
温度計は小学校の理科の時間に実験で使ったようなごく普通ので充分ですが、安いものではバラツキもありますので、可能な限りお店で、同じものを何本か比べて多数意見のグループから選んで買いましょう。2本あると便利。
水銀柱の方が正確で反応が早いですが、表示が見難いので好みが分かれそうです(ボクは水銀派)。
また、価格の高い円形メーターやデジタル式に魅力を感じたこともありませんが、より厳密な温度管理を必要とするカラー処理なら検討しても良いのでしょうね。モノクロでは要らないでしょう。

写真用スポンジ

フィルムやプリントの乾燥時に、水滴防止剤を使わずスポンジで水滴をぬぐい取る場合があります。あくまでも水滴防止剤しか使わないのであれば、スポンジは不要です。
水滴防止剤かスポンジかは悩みどころでして、スポンジはカスがフィルムに付く事があり、いっぽうの水滴防止剤は乾燥時にホコリが付着しやすいのです。
ボクは、始めたばかりの頃は水滴防止剤派で、後にスポンジ派に鞍替えしましたが、また考え直して水滴防止剤派になったりしてます。どちらも一長一短なんですね。
スポンジを使うなら消耗品と割り切って、痛んだのは潔く捨てます。
なお、RCワイパーやフィルムワイパーなど、ゴムのヘラで水滴を切る方法はあまりオススメ出来ません。

攪拌棒

薬品を希釈したり溶解するときにかき混ぜる棒です。
要はコーヒーに砂糖入れてかき混ぜるような、ちょっと洒落た専用具ですね。
スプーンとかお箸とかでも間に合いますが、専用のモノがあればやっぱり使います。
台所用品でもなにかいいものが有ると思います。

容器
薬品のページで挙げたように、フィルムや印画紙の現像処理にはさまざまな薬品を使用します。 そのため、それらを保存したり計量したりするために容器がいくつか必要になってきます。
大型カメラ店の暗室用品コーナーに行くと、さまざまな専用容器が並んでいますが、勢い込んであれこれ買ってしまうと収納にも困りますし、金額的な負担も大きくなってしまいます。 まずは、それぞれの薬品に求められる容器の大きさや機能を整理して、無駄のない買い物をしましょう。
正直に言って、ペットボトルの空き容器で十分なんです。 ペットボトルというのは耐薬品性があって丈夫です。実際のところ、大型カメラ用のシートフィルムはペットボトルと同じ材質(PET)で出来ています。
ジュースやウーロン茶などを飲んだら、容器をとっておいて使います。 500ml、1リットル、2リットルなど、さまざまなサイズがありますし、うっかりすると、飲料を買った方が、専用の容器を1個買うより安かったりします。
時々、写真用品店の暗室コーナーで、専用容器をごっそり購入している方を見かけるのですが、勿体ないなぁと思ってしまいます。

現像液用
フィルム現像液の場合、粉末タイプの製品を溶解して保存するのが一般的です。 他の薬品と混用するのは避けたいので、フィルム現像液用として容器を用意します。
これら粉末タイプの現像液は、溶解後に空気に触れることで劣化してしまい、徐々に現像力を失ってしまいます。 ある程度のペースで消化する場合はあまり神経質にならなくてもいいとボクは思いますが、気になる方は容器内の空気対策も考えた方がよいでしょう。
専用容器にはベローズボトルといって、蛇腹式に長さを調整出来るものがありますが、薄くできている上に、そもそも素材にある程度の通気性があるため、薬品の保存にはあまり好ましくはないそうです。
伸縮式のボトルではない場合、保存液が減るに従って容器の中にビー玉を入れるなどして、空気を追い出す工夫もされるようです。
また、現像液の保存では光に当てない事も求められますから、保存用ボトルはある程度遮光性のある茶色のものが良いとも言われています。
しかし、遮光については戸棚の中や冷蔵庫の中など光の当たらない場所に置けば済むことですし、容量の少ない容器に小分けして保存するという方法もあります。
ボクはベローズボトルの使い勝手の悪さには懲りたところがあるのと、あまり意味が無いように思えるので、ごく普通の、お茶やジュースのペットボトルを洗って使っています。 2リットルの保存液を作ったら、500mlのペットボトル4本に保存するわけです。 1ボトルが小さければ、それが空になるまでの期間が短く、空気で酸化する事も少なくなります。
この方法はお金もかからずなかなか便利ですよ。
保存では、温度が高いよりは低い方がよいので、気温が上がりにくい戸棚の中とか、可能なら冷蔵庫(飲み物と間違わないように!)などが良いです。
なお、コダックのHC-110など濃縮タイプの現像液の場合、水に溶くのは使用直前なので買ったままのボトルで長く保存出来ます。 ボトルの中の空気についてもあまり心配しなくて大丈夫です(理由は専門的なのでここでは書きませんけど)。

定着液用
普通、定着液というのは空気に触れたりして急激に劣化するものではありません(現像液などに比べればの話)。 大部分は処理したフィルムの数なり印画紙の枚数(面積)によって能力を失うものなので、保存に関してはペットボトルに入れて密閉、戸棚に仕舞っておけば通常の使用ペースでは心配しなくても大丈夫でしょう。
フィルム用と印画紙用で使う薬品は同じですが、使用液を混用するのは出来れば避けたい(プリントを汚染したくないから)ので、別々に使用液を作り、それぞれ「フィルム用」「印画紙用」とラベルを貼っておくと便利です。

その他の薬品用
停止液は主に酢酸ですが、直前に水に薄めて使い、使用後は破棄する事が多いので、保存用の容器は特に必要ないでしょう。 仮に保存して再使用するにしても、これもペットボトルで十分。
水洗促進剤の使用液もペットボトルで十分。
水滴防止剤も、原液は買ったままの容器で無くなるまで保存出来ますし、1回使い捨てではなく使用液を保存するにしても、やはりペットボトルで十分でしょう。

計量器

必要な量の薬品を計るため、メスカップ(計量カップ)やメスシリンダーが若干必要です。
まず、粉末タイプの薬品を溶解する際には最低でも2リットル用が要るでしょう。 現像液用と定着液用などは混用を避けるべしと言われますが、使うたびに洗えば済むことなのでボクは気にしてません。
ただし、使用液の計量・注入用は、同時に何個使うことになるかだけはちゃんと考えて用意しなくてはいけませんね。
フィルム現像の場合、現像液用、停止液(水)用、定着液用の3個を使います。 定着処理が終わって水洗しているあいだに、停止液用の計量カップを洗ってしまえば、水洗促進剤などはその場で作れますが、慌てたくないなら予備にもう1個あっても良いでしょう。 作業になれてくると要領もよくなって、使う容器の数もまた減ってくるのですけどね(やる気になればメスカップ1個でも出来ちゃうし、実際ボクは1個でやっちゃう)。
35ミリフィルム2本用の現像タンクの容量は450mlから500mlで、4本用タンクは900mlから1000mlとなります。 実際に使う量より大きめの計量器の方が使い易いのですが、1リットル用で1リットルというのもまぁ、なんとかならないことはありません。 大きすぎると作業スペースが狭い場合には邪魔で仕方有りませんから、大が小を兼ねるとはいきません。
したがって、とりあえず用意するのは2リットル用が1個、1リットル用が3個といったところでしょうか。
それと、少量の液体を計るために細かい目盛りの付いた計量器があると便利です。 メスシリンダーやメスカップの小さいヤツ。最低でも5mlか10ml単位の目盛りが欲しいところです。 濃縮タイプの現像液では、数mlを計る必要が出ることもあります。その場合には目盛り付きのスポイトかプランジャー(注射器)を使用します。
それと、液体を容器に注ぎ入れる際にロート(漏斗)があると便利です。 100円か200円程度と安いモノなので買っても良いでしょう。

これらはなにも、暗室用品用である必要はありませんので、ホームセンターや100円ショップで手頃な台所用品などあれば、それで十分です。
なお、理想を言えば、温度調整のしやすさからメスカップはステンレス製が望ましいのですが、さすがに高価なのでおいそれとは手が出ないかも知れません。しかし作業は非常に楽になります。
その他
ハサミ、カッター、鉛筆、マジックペン、ラベルとか、そういう普通の文房具を使います。