フィルム現像の基本的な処理

モノクロネガフィルムの現像

これから始めようという方や、始めて間もないという方のための、フィルム現像の基本的な処理です。
35ミリのロールフィルムを題材に、ステンレス製の一般的なタンクとリールを用いてご紹介します。 ボクはLPLのステンレスタンクとリールを使っていますので、このページでの例もこの製品に準じます。
作業の流れ自体は人によっていろいろ違いはありますので、あくまでも基本的な流れの例とお考え下さい。

モノクロネガフィルムの現像は、おそらく皆さんが思っているより遙かに簡単で、ちょっと練習すれば誰でも出来るようになりますし、さしてお金もかかりません。
何本かやれば、お店に500円払うよりずっと良い仕上がりを得ることが出来るようになりますし、何より大切な現像のコントロールは自分でやらないことにはどうにもなりません。
使用する薬品についてはこちらのページでも簡単にご案内しています。 現像液は出来るだけ一般的な物を最初は選んだ方がよいと思います。 また、定着液は出来れば非硬膜タイプの迅速定着液を選んでください。
用具についてはこちらのページでもご案内しています。

下準備
現像しようとするフィルム、現像タンク、リール、フィルムピッカー、ハサミなどを用意します。また、現像液、停止液、定着液といった薬品類も準備します。
現像液や定着液は、保存液を薄めて使うタイプ、保存液をそのまま使うタイプなどありますので、製品の説明に従って準備します。 停止液は酢酸を薄めて使うのが一般的ですが、たいていの場合は普通の水道水でも大丈夫です(ボクは水道水です)。

    希釈
    薄めて使うタイプの薬品の場合、「50倍に薄める」といったら原液1に対して49の水という意味ですので、計量が容易ならばそうします。 ですが、実際のところ49も50もあまり変わりませんので、10ccの原液を500ccの水で薄めて合計510ccにしてもなんら問題はないでしょう。
    同じように、「1:1の希釈」とか「希釈率1+1」といったら、原液1に対して水1を混ぜるという意味です。 500ccの使用液を作る際、250ccの原液と250ccの水、ですね。
    「1+2」は原液1に対して水2で合計3。1+9は原液1に対して水9で合計10になります。
    現像液には、こうして「原液を希釈して」使うものが多くあります。 もともとは粉状の薬品を水に溶いて原液を作る事が多いですが、この状態を「保存液」と呼び、希釈するなどした後の実際に処理に使う状態を「使用液」と呼びます。もちろん、原液(保存液)のままで使用する場合もあります。
    英語では「保存液」の事を「stock solution」と言いますので、原液を「stock」と表記している資料もよく見かけます。
    酸化しやすい現像液も、保存液はある程度の期間保存して置いても痛みにくい程度の濃さになっています。 しかし、水でこれを希釈してしまうと酸化しやすくなるため、保存があまり利きません。 そこで、希釈して作った現像液の使用液は1回使い捨てが原則です。

フィルムの巻き取り
未現像のフィルムが剥き出しになる部分、つまりリールにフィルムを巻き取り、タンクに入れる作業は、微細な光でもフィルムが感光してしまうので、完全な暗室を得られる方は暗室で、そうでない方はダークバッグという遮光性のバッグの中で、手探りで行います。

    フィルムのベロを切る
    まず、「フィルムピッカー」という道具を使って、パトローネの中に巻き戻されたフィルムの先端を引っ張り出します。 やり方はピッカーの説明書きにありますが、最初にピッカーのベロをパトローネのスリットに差し込み、1番目のつまみをスライドさせて押し込みます。 次にパトローネの芯をフィルムを巻き込む方向に回転させます。 するとフィルムの先端がピッカーのベロを弾いてパチンという音がしますので、そこで2番目のつまみをスライドさせて押し込みます。あとはピッカーをゆっくり引っ張れば、フィルムが挟まって出てきます。

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    続いて、引っ張り出したフィルムのリーダー部分をハサミで直角に切り落とします。 パーフォレーションとパーフォレーションの間で綺麗に切りましょう。
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    切り方が雑だとリールにセットする時やりにくいので丁寧に。
    切り落としたリーダー部分は定着液のテストなどにも使えるので、とっておいてもいいでしょう。
    ここまでの作業は明室でOKです。

フィルムをリールに巻く
ここから先は完全暗室、またはダークバッグの中で行います。 手探りの作業なので、ここが最初の難関、またおそらくは最後の難関ですが、慣れるとまったく何て事のない作業です。
最初はなかなか上手くできなかったり手のひらが汗だらけになって焦りますが大丈夫。 いくつかコツのようなものもありますが、基本的には指先が感触を覚えたりといった慣れの問題です。
はやく現像してみたい気持ちはわかりますが、フィルム1本か2本を練習用にして、明るいところで繰り返しやってみましょう。
実際の作業は目で見ることが出来ない手探りですが、明るいところで練習する事で仕組みを理解しやすく、また、なにか指先に変な手応えがあったとき、何が原因かを見つけやすくなるはずです。
まず、明るいところで仕組みを見ながら練習して、次に目を閉じてやってみます。 何かおかしな手応えがあったら目を開けて、何が起こったのかを観察しましょう。
ここでは、パトローネから引っ張り出しながらリールに巻いていく様子を紹介しますが、先にパトローネを開けてフィルムを取りだしてから巻く方法もあります(ボクは後者です)。 慣れると作業が早いのですが、手に汗握る感じだとフィルムが汗だらけになりますし、手を離せばフィルムがバラバラとほどけてしまいますので慣れが要るかもしれませんね。

    フィルムの先端をリールにとめる
    リールの芯にフィルムの先端を差し込み、爪にパーフォレーションを引っかけてから巻き始めます。
    左の画像で、リールの芯の右側に見える2本の爪を使います。
    リールの内側の幅はフィルムの横幅より狭いですから、フィルムを少したわませて差し込みます。 たわませすぎると芯の差し込み口に入れにくいですから加減して。
    初めのうちは、この部分が一番難しいようです。また、ここがきっちり出来ないと後が巻けません。
    コツは、リールの内側に入れたフィルムの先端を真っ直ぐ差し込み口に向かわせようとしないで、長目に入れて芯の上に預け、手前に引きながらストンと差し込み口に落とし込む感じでしょうか。
    下の画像で、まずフィルムの先端をリールの中に入れ、いったん芯を通り越して奥まで差し込みます。 それから、フィルムをリールの芯に押し当てるように、つまり画像で言うと下向きに軽く力を掛けながら手前に引いてくると、差し込み口のところに先端がストンとはまるわけです。
    あらかじめ、リールの芯の差し込み口の位置を確認しておくと作業がスムースです。 同じメーカーのリールなら、螺旋の終端部分と差し込み口の位置関係は同じですから、手探りでも容易に見つけられます。
    ボクの使っているLPLのリールですと、リールの螺旋の終端を左手の人差し指で触っている状態でなら、普通に右からフィルムを入れてきてちょうど良い位置になりますので、毎回まったく同じ角度でリールを持つための手がかりにしています。上の画像でも人差し指がリールの終端を触ってますね。
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    フィルムの先端を差し込んだら、フィルムを下に少し折り曲げるようにして、リールの芯にある爪にフィルムのパーフォレーションを引っかけます。 左右の爪それぞれが、しっかりパーフォレーションに引っかかるのを確認しましょう。 この時に、フィルムの差し込み方が斜めになっていたりすると、左右の爪が違う列の穴を拾ってしまい、いきなりまっすぐ巻けなくなります。 きっちりと真っ直ぐにはまっていないといけません。
    そして少し引っ張るテンションを掛けたまま1巻きします。
    フィルムをリールに巻き取っていく
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    フィルムの先端はリールの芯の爪に引っかけてあるだけですから、軽く引っ張るテンションを掛けていないと外れてしまいます。 そこで、最初の3回転くらいは、リールを左手で回しながらフィルムを引っ張って巻き取っていく感じが良いです。 (右利きと仮定して)左手にあるリールと、右手にあるフィルムとで、軽く綱引きしている状態ですね。
    つまり、リールでフィルムを引っ張るような感じになります。
    いくらか巻けばもう外れませんから、ここでいったん引っ張る力を抜き、逆にフィルムをリールに押し込む力を掛けます。
    上の画像で言えば、右手で持っているフィルムを、左のリールに向かって押し込むわけ。 すると、少しフィルムが中に入っていくはずです。 きつく締まっていた巻き取りが緩むからですね。
    初心者の方は、ずっと引っ張る力を掛けながら巻いてしまう事が多いようなのですが、理想はフィルムを押し込んでいき、フィルムがリールの中で緩く巻かれている状態です。
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    画像は、左がフィルムを引っ張りながら巻いた状態です。 フィルムがリールの中心、つまり内側のワイヤーに押しつけられています。 リールに巻き取られているフィルムの内側が現像される画像の有る方、つまり乳剤面ですが、こちらがワイヤーに押しつけられているわけですね。
    右の画像は、フィルムをリールに向かって押し込みながら巻いた様子です。 フィルムはリールの外側のワイヤーに押しつけられています。
    フィルムを押し込みながら巻くと、フィルムの外側がリールのワイヤーに接しますので、画像面側は現像液の出入りがスムースになり、現像ムラを避けやすくなります。
    とはいえ、慣れると平気ではあるのですが、フィルムを押し込む力でリールを回転させながら巻いていく方法は、ちょっと難しいかも知れません。 左手でリールを回転させてフィルムを引っ張りながら、少し巻いては右手でフィルムを押し込み、少し巻いては押し込み、という感じで良いと思います。
    少し巻いて押し込むとき、スムースにフィルムが前後すれば、綺麗に巻けている証拠です。 フィルムがリールの溝を跳び越えてしまっていたりすると、軽く押したり引いたりが出来ませんので、フィルムを押し込んでみるのは綺麗に巻けているかどうかの確認の意味もあります。
    スムースに押したり引いたりが出来ず、引っかかりがあるようでしたら、途中でフィルムがリールの溝を外れてしまっています。 リールを逆転させて少しフィルムをはずし、巻き直します。

    フィルムを巻いたリールをタンクに入れる
    フィルムを最後の方までリールに巻いたら、ハサミで切ります。
    あんまりパトローネから離れたところで切ると、場合によっては最後の撮影コマを切ってしまうかも知れません。 逆にパトローネの縁ギリギリで切ろうとすると、なにせ手探りですからパトローネのスリット部分の植毛を切ってしまい、そのカスがフィルムにかかってしまうこともありそうです。
    などなど、ちょっと注意が必要ですが、この部分は別に綺麗な直角でなくてもなんら問題ないので、注意するといってもハサミで指を切らない様に注意、でしょうか。
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    今回、いちおう見本としてハサミで切っていますが、フィルムを力任せに引っ張ると芯から外れて出てきます(あまり褒められた方法ではないですが)。 また、パーフォレーション部分をうまく使えば、上の動画でボクがやっているように手でフィルムを千切る事も意外と簡単ですが、ハサミで切るのが無難でしょうね。
    先にパトローネを開けてフィルムを剥き出しにしてからリールに巻く方法だと、簡単に芯から外すことが出来ます。リールに巻く作業自体に慣れてきたら、その方が全体として楽で良いかも知れません。
    いずれにしても、フィルムの最後をパトローネ側から切り離したら、リールに最後まで巻き取り、現像タンクに納めます。 2本用や4本用タンクで複数のフィルムを同時に現像する場合、次のフィルムをリールに巻きます。
    最後のリールをタンクに納めたらタンクにフタをします。
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    これで一段落、ダークバッグからタンクを出しても(暗室での作業なら灯りをつけても)大丈夫です。

温度調整
現像は薬品と金属の化学反応です。 反応を起こす薬品の温度によって、化学反応が進むスピードは異なってきますから、同じ時間現像したとしても、温度が違うと現像量が変わってしまいます。 そのため、現像液の温度は処理を通して指定されている値に合わせておく必要があります。

    現像の温度は、ある程度低くても高くても、処理にかかる時間が変化するだけですが、あまり低すぎては化学反応に支障があり、また高すぎるとフィルムが痛みやすくなってしまいます。
    通常、18℃から26℃程度の範囲内で指定されているはずです。 現像温度と現像時間の組み合わせを事前に確認しましょう。
    フィルムや現像液の説明書には、何種類かの温度と現像時間の組み合わせが書かれています。 あまりに現像時間が短いと繰り返し精度を得るのが難しいですし、現像ムラを起こしやすくなります。そうした場合は低めの温度と長い時間の組み合わせを選びます。 ボクは5分未満の現像時間は絶対に使いませんし、可能な限り8分から10分くらいの手頃な時間になる温度を選択しています。
    (あまり長い現像時間は面倒だし途中で飽きちゃうのでやっぱり選びません)。
    また、冬季で室温が低い、夏期で室温が高い場合などは、温度調整のしやすさから処理温度を選ぶ事も考えられるでしょう。 もちろん、1年通して同じ温度が繰り返し精度としては望ましいですが。

まず、平たく面積のある容器(深めのバットや大きめの洗面器など)に処理温度に合わせた水を張ります。現像処理中の保温用です。 現像処理中は、現像タンク、各種薬品の温度を一定に保つため、基本的にはこの保温用の水に容器ごと浸けておきます。

    処理薬品(現像液・停止液・定着液等)をメスカップに用意し、温度を調整し、保温用の水を張った容器にメスカップごと入れておきます。
    薬品の温度が処理温度とはなれていた場合、メスカップごと軽く湯煎する、冷たい水に浸けるなどして調整します。 この時、ステンレス製のメスカップですと熱が伝わりやすいので、温度調整が非常にスピーディーに出来ますが、プラスチック製だとなかなか大変です。
    温度計が複数あると便利ですが、1本しか無い場合、違う薬品の温度を測る前には必ず洗います。特に、定着液や停止液が付着した温度計を現像液に入れてはいけません。
    フィルムを入れた現像タンクも、保温用の水に浸けて温度を処理温度に近付けておきます。 あくまでも肩まで、うっかりタンク内に水が入らないようにね。
    各薬液のメスカップは順番に取りやすい位置に置きましょう。 取っ手の向きを利き腕側手前にするなど細かい気配りをしておくと、後の手順がスムースに出来ます。

室温が処理温度とほとんど変わらない場合、停止液や定着液のメスカップは最初に温度調整さえすれば、後は保温用の水に入れておかなくても、室温に放置で大丈夫です。 許容範囲はプラスマイナス2℃くらいまででしょうか。ただし、現像液の温度だけは出来るだけ正確に。
理想を言うと、エアコンで室温自体を処理温度に合わせてしまうのがいちばんなのですけどね。 液温は、上げるより下げる方が時間がかかるので、特に夏場はクーラーの効いた部屋で作業できると最高です。

現像処理
各処理の時間は正確なのに越したことはありませんが、少々狂っても大丈夫、大事件にはなりません。 それより、慌てて何かの手順を飛ばしてしまったとか、薬品の順番を間違える、容器をひっくり返す、なんてのが困ります。
リラックスして、慌てず騒がず冷静に、慣れるまでは一つ一つの手順を確実に行っていくのが大切です。

    直前の準備
    ストップウォッチを待機状態にして、操作しやすい位置に置きます。 ボクはキッチンタイマーを使っています。 スパゲッティを茹でるときなんかに使うアレですね。
    現像タンクのキャップを外し、取りやすい位置に取りやすい向きで置きます。
    両手を軽く保温用の水に浸けてから左手にタンクを持ち、右手が一番取りやすい位置に現像液のメスカップを置きます(右利きの場合)。
    後で慌てないよう、全てのモノが取りやすい位置・取りやすい向きになっていることを今一度確認しましょう。
    いよいよスタートです。
    現像液の注入
    右手でストップウォッチ(タイマー)をスタートしたら、現像液のメスカップを持ちます。
    現像タンクに現像液を注ぎ込みます。 この時、現像タンクをメスカップ側に少し傾けると入れやすいです。 急激に注ぐとタンクのクチから溢れてしまいますから、一気にジャバーっと注ぎ込んではいけません。かといって無駄な時間が掛からないように、スムースに。
    注ぎ終わったらメスカップを置いてタンクにキャップをし、同時にタンクを右手に持ち替えます。
    気泡予防
    注入後タンクを右手に持ち替えるのと同じ動作の流れの中で、タンクの底をテーブルや流し台にカンカンカンと軽くたたきつけます。
    フィルムに気泡が付着して現像ムラになるのを防ぐための重要な工程です。
    この前後は一連の動作の中でやることいっぱい。 初めての人は予行演習を繰り返しておきましょう。
    2本用タンクの場合、この時点で経過時間13秒くらいかな。
    攪拌(初回)
    気泡予防のカンカンカンに続いて、4回の倒立攪拌を行います。 手首を回転させてタンクを上下逆さまにし、また元に戻して1回と数えます。
    早すぎずゆっくり過ぎず、4回がほぼ10秒間で完了するようなリズム。 タンクを上下逆さまにすると、中の空気が動いてゴボゴボゴボという音がしますが、この音を聞き届けるのがタイミングを計る目安でもあります。
    4回目の倒立攪拌が終わったら、保温用の水にタンクを戻します。 この時点で計時開始から25秒くらい経過してるあたりでしょうか。
    インターバル(1回目)
    初回のインターバルは短いですが、念のため温度計で保温用の水の温度をチェック。 ずれてきていたら微調整します。
    温度を下げるときは冷水を少量注いで軽くかき混ぜ、上げるときは温水を注ぎます。
    ごくわずかに上げるだけなら、手を入れて体温でも調整出来ます。
    調整用の冷水・温水は一度にたくさん入れず、ちょっとずつ。 そんなに簡単に温度が変化したりはしません。 あまり入れすぎて水位が上がってしまったら、手のひらで掻き出します。 水位が上がりすぎてタンクが水没しちゃ困りますからね。
    攪拌(2回目以降)
    ストップウォッチ作動から1分経過時点で2回目の攪拌。
    右手を保温用の水に軽く浸けてからタンクを持ち、初回と同様に4回の倒立攪拌をだいたい10秒くらいで行います。
    処理中にタンクを触るときは、手を保温用の水に軽く浸けてから。 体温がタンクに伝わるのを極力避けるための気配りです。
    インターバル(2回目以降)
    インターバルはそれぞれ50秒ほどあります。 毎回、保温用の水の温度を確認し、処理温度とずれていたら調整します。
    慣れてくるとこの空き時間に次の薬品の準備や確認をしたり、トイレに行ったりできますが、初めのうちはじっと集中して、タイマーを観ていた方がいいでしょう。
    ボクは次に現像するフィルムをリールに巻いたりしたこともありますが、ちょっとスリリングでしたね。

以後、同様に1分毎に4回の倒立攪拌を行います。
現像時間が6分15秒や6分30秒など半端が出る場合、最後のサイクルで攪拌するかどうかは微妙な判断です。 6分15秒の場合だったら残り15秒で10秒の攪拌をする意味もないのでパスしていいでしょう。 ボクの場合30秒でもパス。45秒ならやってますが、自分の好きなように、毎回同じくやっていれば問題ありません。

    現像液を排出
    タイマーが処理時間丁度をさしたら、現像液を排出します。
    タンクを左手に持って、キャップを外し、元のメスカップに中の現像液を注ぎ出します。 タンクを真っ逆さまにはせず、斜めの方が素早く排出できます。 この時、フタを指で押さえられるようにタンク持つといいでしょう。 大きなタンクだと液体の重さでフタが外れて大惨事、という事もあり得ます。
    時間のちょっと前にタンクを持ち上げて排出の準備、キャップは早めに外しておいても大丈夫です。
    停止浴
    現像液を排出し終わったら、素早く停止液をタンクに注ぎ込みます。 注入の要領は現像液の注入と同じで、タンクをちょっと傾けて、早すぎず遅すぎず。
    注入後、キャップをして攪拌に入ります。
    現像液を排出する時は左手でタンクを持ち、停止液の入ったメスカップを右手に持ってスタンバイしておけば作業がスムースです。
    停止液を注入し終わってキャップをしたら、約30秒ほど連続的に攪拌します。 攪拌はやはり倒立攪拌で、リズムは現像の時と同じでいいでしょう。 ただし今回は4回ではなく、約30秒間です。
    このあたりからの手順は秒刻みという厳密なものではありません。停止浴の時間はなにもタイマーで測らなくても構いません。 口の中で30数える感じで十分です。
    約30秒ほど連続攪拌したら、キャップを外して停止液を排出します。

      停止液に薄めた酢酸を使わず、水で行う場合、30秒の連続攪拌ではなく、水の入替えが必要です。
      現像液排出後、水を注入してキャップをし、10回の倒立攪拌。 そこでいったん水を排出し、再び新鮮な水を注入して10回の倒立攪拌を行います。

酢酸を薄めた酸性の停止液を注入してしばらく攪拌してしまえば、現像は止まってしまいますので、もうたいして急ぐことはありません。 ほっとひと息、あとはのんびり行きましょう。
実を言うと、停止処理が完全であれば、この段階でフィルムをタンクから出して光にあてても大丈夫なのです。 しかし、以後の工程もタンクの中で行った方が簡単ではあります。

    定着浴
    停止液を排出し終わったら定着液を注ぎ、キャップをします。
    タイマーで計時をスタートし、最初の約30秒の間は連続して倒立攪拌します。 攪拌の要領・リズムなどはこれまでと同じです。
    攪拌が終わったら保温用の水にタンクを浸け、次の攪拌サイクルまで待ちます。
    2回目の攪拌は、計時スタートから1分経過時。 現像の時と同じ要領で4回の倒立攪拌をだいたい10秒ほどで行います。
    続いて計時スタートから2分経過時に3回目の攪拌を同様に。 以後も3分経過時、4分経過時と、定着時間の終了まで続けます。
    この辺りは現像過程とほぼ同じですね。 ただし、現像ほど温度やタイミング、時間にシビアになる必要はありません。
    定着処理の時間はご使用のフィルム・定着液の使用説明に従ってください。 簡単なテストで定着に必要な時間を調べることも出来ます。 特に、繰り返し使用している定着液ではまめにチェックしておいた方がいいでしょう。
    定着処理時間が過ぎたらタンクを持ち、キャップをはずして定着液をもとのメスカップに排出します。

ここまでが現像処理で、続いてフィルムの水洗に移ります。

水洗は流水で何分、というのが良く知られた方法ですが、ここではイルフォードの「ハイパムフィクサー」など、非硬膜タイプの定着液を使っているという前提で、より確実で水の使用量も少ない方法で行っていきます。

水洗
あらかじめ、大きめのメスカップに水を用意しておきます。 水の温度は、現像や定着ほど厳密でなくても構いませんが、処理温度に対してプラスマイナ ス2℃くらいの範囲で温度調整しておきます。

    現像タンクに水洗用の水を注ぎ、キャップをして5回の倒立攪拌を行います。
    水を排出し、再び新鮮な水を注いで今度は10回の倒立攪拌。
    再び水を排出、新たな水を注いで、今度は20回の倒立攪拌。
    再度同じ要領で、20回の倒立攪拌を行い、水を排出して水洗処理は完了です。

この方法では、タンクの必要液量の4倍ほどの水を用意しておく必要があります。 2本用タンクでは2リットルほど、4本用では4リットルにもなりますが、なにも慌てて行わなくてはいけない処理ではありませんので、途中で水の温度調整をして追加しながらでも大丈夫ですし、薬品を入れるわけではないのでメスカップではなくヤカンか何かを使ってもいいでしょう。
ボクの場合、台所の流しには給湯器があって温度調整が出来るため、非常に簡単で助かっています。

流水で水洗する場合は、水のまわりが良いようにリールをタンクから出してメスカップ等に移します。
メスカップ一杯に水を入れ、排出。また入れて排出。 これを数回繰り返した後、非硬膜化タイプの定着液を使っている場合、流水で約5分間水洗します。 メスカップに注ぎ込まれた水がちょろちょろこぼれ出るくらいの水量で充分です。
硬膜化タイプの定着液を使っている場合には、定着液の使用説明書に記載された推奨時間に従い、指定されているなら水洗促進剤等を使ってください。
水洗時の水温は現像~定着時の処理温度プラスマイナス2℃程度までが望ましいです。 水の温度が極端に低い場合、水洗の効率が悪く思いがけないトラブルの元になりかねませんし、逆に温度が高い場合、フィルムの乳剤層が痛んでしまうこともあり得ます。
夏場や冬場など、水道水の温度が処理温度と大きく離れてしまう場合は、前出のように温度調整した水を使った水洗方法をとった方がよいと思います。

流水の場合、ちょろちょろとした量では容器の水を入れ替えるのに意外と時間がかかります。 なにか色の付いた液体で試すとよく分かりますが、ビックリするくらい効率が悪く、無駄に水も使ってしまいます。 また、リールに巻かれたフィルムの隅々まで均等に水が出入りするかどうかも怪しいものです。
タンクに水を入れて攪拌して排出を繰り返す方法は、頼りなく思えて実はとても効率が良く、確実な方法なのです。

リールの取りだし
タンクの蓋を開け、リールを取り出します。 いよいよ現像後のフィルムとご対面です。
巻いてあるフィルムを少しだけ引き出して、フィルムベースが定着処理でちゃんと抜けている(曇り無くグレーの半透明になっている)か、念のため確認します。 ついつい画像の出来を見たくてどんどん引き出しちゃうものですが、もうちょっとガマンしましょうね。

    定着液が疲労していてダメダメだと、フィルムベースが綺麗に半透明になりません。 万が一そんな事があっても、慌てる事はありません。 リールをタンクに戻してフタをし、新鮮な定着液を用意して再度定着処理すれば大丈夫です。 もっとも、そもそもそんなことがあるようでは困りますけどね。
    フィルムベースが綺麗に半透明と言っても、実際にはフィルムの銘柄によってその色や透明具合はさまざまです。 何度かご紹介している定着液のテストでは綺麗に抜けたフィルムベースを見ることが出来ますので、それを参考にしても良いでしょう。 実際には、未現像のフィルムを定着したより、現像したフィルムの方が定着後のベースは現像カブリによって若干濃くなっていますので、全く同じようにはなりません。あくまでも参考程度としてです。
    また、フィルムによってはベースがややピンクがかって見えることがあります。 これも定着不足の事もありますが、多くの場合は水洗の不足です。 水洗促進剤を使って再度水洗するなどすると、ピンク色が薄くなったり取り除いたり出来ます。 完全には取れない場合もありますが、ほとんどの場合、問題にはならないようです。

乾燥
水洗処理が終了したらフィルムを乾燥させます。 乾燥させる場所は、言うまでもなくホコリがたちにくい場所。 なおかつあまり乾燥しておらず、強い日射しなども当たらないところが良いです。
一般的には、お風呂場がベスト、という事が多いようですね。 特に、あらかじめ熱いシャワーをしばらく出して湯気を立てておくと、お風呂場内のホコリが蒸気と一緒に下に落ちてしまいますから、かなり理想的な空間を作ることが出来ます。 もちろん、お風呂場の使用にはご家族の了解を得ないとマズイですけどね。
乾燥では水滴によるムラを防ぐために、おおきく分けて2通りの方法があります。

    スポンジ
    水洗の終わったフィルムのリールを、ピッピッと振って余分な水滴を出来るだけ落とし、リールからフィルムを少し引き出して、フィルムクリップを取り付けて先端のフックを高い位置に引っかけます。
    ゆっくり自重で降ろしながらリールを回転させてフィルムを徐々に引き出し、全部を引き出したらリールから外し、端にオモリ付きのクリップを取り付けます。
    軽く濡らした後で良く絞った、写真用スポンジ2つでフィルムを挟むようにし、上から下へと優しくなぞって水分をスポンジで吸収します。 一度で出来なかったらスポンジを軽く絞って再び上から下へ。
    乱暴にやるとフィルムに傷を付けやすく、またスポンジが痛んでカスが出てしまいますので優しく、ね。 水滴が残っていると乾燥後にそこがムラになってしまいますのでご注意を。
    あとは乾くまで放っておきます。
    水滴防止剤
    界面活性剤のようなもので、水の表面張力を失わせて水滴が出来ないようにするものです。 富士写真フィルムの「ドライウェル」という商品が一般的です。
    「ドライウェル」は水でかなり薄めて使いますので、1回使い捨て、という考え方も出来ますが、最後にフィルムを浸ける水は出来れば不純物のない綺麗なものの方が望ましいです。 そこで、可能なら精製水、少なくともフィルターを通した水で使用液を作るのが良いでしょう。 水道水の水質によっては、乾燥後に白っぽいムラが出来てしまうこともありますから。
    水洗の終わったフィルムのリールを、ピッピッと振って余分な水滴を出来るだけ落とし、リールごと薄めたドライウェルの溶液に浸し、30秒ほど放置します。 その後、リールを取りだしてフィルムの先端にフィルムクリップを取り付け、高い位置から吊します。
    ゆっくり自重で降ろしながらリールを回転させてフィルムを徐々に引き出し、全部を引き出したらリールから外し、端にオモリ付きのクリップを取り付けます。
    後は自然乾燥です。 表面張力を失った水は静かに下に落ちていきますから、水滴は出来ません。

水滴防止剤の場合はスポンジでぬぐう必要が無いので、その事による拭き傷の危険や、スポンジカスの心配をする事もないですが、一方で、びちゃびちゃに濡れた状態から乾燥を始めるので普通のホコリが付きやすいというデメリットもあります。 どちらが良いかは好みの問題かも知れません。
いずれにしても、急速に乾燥するとフィルムは乳剤面を内側にして強くカールしてしまいます。乳剤層は水を含むと膨らみ、乾くと縮むからですね。
それを防ぐため、下にオモリを付け、ある程度の湿度がある場所で時間を掛けて乾燥させた方がよいわけです。
それでもカールしてしまったら、ネガシートに入れた後で本などで挟み、重しをかけて一晩おけばかなり落ち着きます。
乾燥途中にホコリが付着してしまって、軽く拭いても取れないという様な場合、リールに巻いて水洗をし直した方が良いです。乾いた状態ではどうにもならない事が多いです。

以上で一通りの処理は終わりです。
乾燥させたネガフィルムは35ミリフィルムなら6コマずつに切り、ネガシートに入れて保管します。
定着液・停止液は繰り返し使用できるので容器に入れて冷暗所に保存します。 停止液は安価なので使い捨てでもいいですが、定着液は勿体ないのでテストをしながら疲労度を確認し、ある程度のところで新鮮な液に交換です。
現像液は現像時間を延長することで繰り返し使用する場合もあるでしょうが、保存液を希釈して使うタイプでは1回使い捨てです。ボクは原液使用・希釈使用にかかわらず繰り返し精度を重視して1回使い捨てにしています。
諸説あるようですが、現像液や停止液を廃棄するときは大量の水と一緒に排水口に流しても構いません。食べ残しの醤油やソースを台所の流しから捨てるより環境への影響は少ないという意見もあるようです。
廃棄業者に出す場合、廃酸・廃アルカリ処理業者というのがありますので探してみましょう。役場に聞けば分かるはずです。 あるいは、非常に仲良くしている写真屋さんがあるなら、相談しても良いかも知れません。
使用済みの定着液は、フィルムから除去した銀が含まれているので、そのまま破棄するのはやめましょう。
バケツに使用済みの定着液を入れ、中にスチールウールを沈めておきます。 数日すると液中の銀が分離して沈殿しますので、上澄みを捨て、沈殿物を廃棄業者に出すか、あるいは燃えないゴミですね。 いちおう銀なので、メチャメチャいっぱい溜めておくといつか指輪くらいは作れるかも知れませんけど(?)。